教育・学校
スペインの教育制度Q&A 12問
スペインの学年は1〜12月の生まれ年区切りで、9月に始まります。日本の学年との対応表、早生まれのずれ、サッカーカテゴリーとの関係まで、編入で迷う点を整理します。
制度の全体像
スペインの学校制度はどうなっていますか?
Infantil(幼児教育、0〜6歳)→ Primaria(初等教育、6〜12歳の6年間)→ ESO(前期中等教育、12〜16歳の4年間)→ その後はBachillerato(大学準備課程2年)またはFP(職業訓練)に分かれます。義務教育はPrimariaとESOの10年間(6〜16歳)です。
| スペインの学年 | 年齢(その年に達する満年齢) | 日本の学年(4〜12月生まれ) | 日本の学年(早生まれ) |
|---|---|---|---|
| 1º〜3º Infantil | 3〜5歳 | 年少〜年長 | 年少〜年長 |
| 1º Primaria | 6歳 | 年長 | 小1 |
| 2º Primaria | 7歳 | 小1 | 小2 |
| 3º Primaria | 8歳 | 小2 | 小3 |
| 4º Primaria | 9歳 | 小3 | 小4 |
| 5º Primaria | 10歳 | 小4 | 小5 |
| 6º Primaria | 11歳 | 小5 | 小6 |
| 1º ESO | 12歳 | 小6 | 中1 |
| 2º ESO | 13歳 | 中1 | 中2 |
| 3º ESO | 14歳 | 中2 | 中3 |
| 4º ESO | 15歳 | 中3 | 高1 |
| 1º Bachillerato | 16歳 | 高1 | 高2 |
| 2º Bachillerato | 17歳 | 高2 | 高3 |
早生まれ=1月1日〜4月1日生まれ。スペインでは留年(repetición)が普通にあるため、実年齢と学年が1〜2年ずれる生徒も一定数います。
日本との対応で言えば、Primaria=小学校、ESO=中1〜高1、Bachillerato=高2〜高3に相当します。ただし後述のとおり、生まれ月によって「日本の学年より1つ上」に入るケースが多数派です。
スペインの学年は何月区切りですか? 日本と学年がずれますか?
スペインの学年は1月1日〜12月31日の「生まれ年(暦年)」で区切られます。法令(Real Decreto 157/2022)にも「6歳になる暦年に1º Primariaに入る」と明記されており、1月生まれも12月生まれも同じ学年です。新学期は9月に始まります。
日本は4月2日〜翌4月1日生まれが同じ学年(学校教育法施行規則)。この2つの区切りがずれるため、日本の同じクラスがスペインでは2つの学年に分かれます。
| 生まれた月 | 1年のうち | スペインでの学年 |
|---|---|---|
| 4月2日〜12月31日生まれ | 9ヶ月ぶん | 日本の学年より1つ上に入る |
| 1月1日〜4月1日生まれ(早生まれ) | 3ヶ月ぶん | 日本の学年と同じ番号に入る |
「早生まれの子だけがずれる」と説明されることが多いのですが、実際にずれるのは4〜12月生まれの多数派のほうです。
例えば日本の小6のクラス(2013年4月2日〜2014年4月1日生まれ)は、スペインでは2013年生まれが1º ESO、2014年1〜3月生まれが6º Primariaと、2つの学年に割れます。
早生まれの子はスペインでは何年生になりますか?
1月1日〜4月1日生まれ(いわゆる早生まれ)の子は、スペインでは日本と同じ学年番号に入ります。日本の小4なら4º Primaria、中2なら2º ESOです。学年が下がるわけではありません。
ただし日本のクラスメイト(4〜12月生まれ)は1つ上の学年に入るため、「日本で一緒だった友達より1学年下」という相対的な状況にはなります。日本で早生まれのハンデを感じていた子にとっては、スペインでは月齢が上のグループに入るので、体格差の面ではむしろ有利に働くことがあります。
日本から編入する場合、原則として年齢に応じた学年に置かれますが、語学力を考慮した調整が認められるかは州・学校の判断による部分があります。個別のケースは学校への確認が必要です。
サッカーのカテゴリーと学年はどう対応しますか?
スペインサッカー連盟(RFEF)の規定でも、育成年代のカテゴリーは暦年で区切られます。学校の学年と完全に同じ区切りなので、「スペインの学年が決まればカテゴリーも決まる」というシンプルな関係です。ここは日本と大きく違う点です。
| カテゴリー | 年齢 | スペインの学年 | 日本の学年の目安(4〜12月生まれ) |
|---|---|---|---|
| Prebenjamín(プレベンハミン) | 7〜8歳 | 1º〜2º Primaria | 年長〜小1 |
| Benjamín(ベンハミン) | 9〜10歳 | 3º〜4º Primaria | 小2〜小3 |
| Alevín(アレビン) | 11〜12歳 | 5º〜6º Primaria | 小4〜小5 |
| Infantil(インファンティル) | 13〜14歳 | 1º〜2º ESO | 小6〜中1 |
| Cadete(カデーテ) | 15〜16歳 | 3º〜4º ESO | 中2〜中3 |
| Juvenil(フベニル) | 17〜19歳 | 1º〜2º Bachillerato | 高1〜高3 |
Juvenilのみ3学年分あります。最年少層の呼称(Debutante / Querubín / Bebé)は連盟によって異なります。
実務上いちばん影響が大きいのが小6前後です。日本の小6クラスでも、4〜12月生まれはInfantil、早生まれはAlevínに分かれます。一般にAlevín以下は少人数制(7人制・8人制)、Infantil以上は11人制なので、日本の8人制から来た子が、生まれ月次第でいきなり11人制に入るかどうかが変わります。
サッカーのシーズンは7月1日〜翌6月30日(RFEF規定)。学校は9月〜6月です。8月のプレシーズンから参加する場合、学校より先に新カテゴリーが始まっている点にご注意ください。
新学期はいつ始まり、いつ終わりますか?
アンダルシア州の2025/26年度を例にすると、年度そのものは9月1日〜6月30日。実際の授業はInfantil・Primariaが9月10日開始、ESO・Bachillerato・FPが9月15日開始で、授業終了はいずれも6月22日でした(2º Bachilleratoのみ大学入試のため5月22日終了)。
つまり夏休みは6月下旬から9月上旬までの約2ヶ月半。この長い夏休みが、日本から「夏の2〜3週間だけ現地を体験する」プログラムが成立する理由でもあります。
学事暦は州の権限で、アンダルシア州内でも県(セビージャ、マラガ、カディス等)ごとに決議が出るため数日ずれます。渡航計画を立てる際は、お住まい予定の県の暦をご確認ください。
学校の種類(公立・コンセルタダ・私立)の違いは?
公立(público)は無償で学区制、コンセルタダ(concertado)は公費補助を受けた私立で低額の学費、私立(privado)は全額自己負担でインター校もここに含まれます。生徒数の比率はおおむね公立7:コンセルタダ2:私立1です。
教育の質は「私立ほど良い」という単純な構図ではなく、公立にも評価の高い学校が多くあります。学校ごとの評判は地域の口コミが最も確かです。
学校生活・評価
成績や進級の仕組みは日本と違いますか?
大きく違う点は留年(repetir)が制度として普通に存在することです。学力が基準に達しない場合、小中学生でも学年をやり直すことがあり、社会的なスティグマも日本ほど強くありません。評価は学期ごとの継続評価(提出物・テスト・授業参加)が基本です。
外国人の編入直後は言語のハンデが考慮されるのが一般的ですが、「進級は自動」ではないという前提は持っておきましょう。
1日のスケジュールはどうなっていますか?
多くの公立校は9時頃開始〜14時頃終了の連続授業(jornada continua)で、下校後に昼食をとります。学校によっては午後の課外活動(extraescolares)や給食(comedor)があります。
午後が丸ごと空くこの構造が、地域クラブでのサッカー(夕方〜夜の練習)と両立しやすい生活リズムを生んでいます。日本の「学校+部活で18時まで」とは時間の設計思想が根本的に違います。
保護者の関わり方はどの程度求められますか?
送迎(低学年は必須文化)、学期ごとの保護者面談、クラスのWhatsAppグループへの参加が主な関わりです。PTA相当のAMPAという保護者会がありますが、加入は任意です。
連絡がスペイン語のアプリ・メッセージで飛んでくるため、移住初期は翻訳ツール+サポートで確実に情報を拾う体制が必要です。学校からの重要書類(遠足の同意書など)を見落とすと子どもが困ります。
16歳以降の進路
ESO修了後の進路にはどんな選択肢がありますか?
大きく3つ、(1)Bachillerato(大学進学準備の2年課程)、(2)FP(職業訓練課程、中級→上級と積み上げ可能)、(3)就労です。スペインではFPの社会的評価が近年上がっており、スポーツ関連のFP課程(トレーナー等)もあります。
サッカーを続ける子にとっては、「Bachilleratoで大学進学の道を残す」か「FPで実務資格を取りながら競技を続ける」かが典型的な分岐です。
スペインの大学に進学することもできますか?
できます。Bachillerato修了後、大学入学統一試験(EBAU/PAU)を経て出願するのが標準ルートです。学費は公立大学で年1,000〜2,500ユーロ程度と、日本の国立大学より安い水準です。
外国人生徒も同じ制度で受験でき、スペイン語力さえあれば、欧州の大学教育に日本より低コストでアクセスできるのは教育移住の隠れたメリットです。
サッカー選手を目指しながらの進路設計はどう考えればいいですか?
スペインの育成環境の良いところは、フベニル年代(16〜18歳)でも「学業と両立している選手」が多数派なことです。プロになれるのはごく一部という前提が社会に共有されており、クラブも学業を尊重します。
「プロを目指す=学業を捨てる」ではなく、Bachillerato/FP/日本の通信制のいずれかで18歳時点の選択肢を確保しながら競技を続けるのが、スペイン式のキャリア設計です。
参考にした一次情報
- Real Decreto 157/2022 (初等教育の最低教育内容・BOE) (6歳になる暦年に1º Primaria入学)
- Real Decreto 217/2022 (ESOの最低教育内容・BOE)
- アンダルシア州教育庁 2025/26年度 学事暦決議 (セビージャ県版)
- スペインサッカー連盟(RFEF) Reglamento General (2025/26シーズン版・カテゴリー年齢区分)
- 学校教育法施行規則 (e-Gov法令検索) (日本の学年は4月1日開始)
ご注意
就学手続き・学費は自治体・学校・年度により異なります。最新情報は各教育委員会・学校の公式情報をご確認ください。