教育・学校

スペインの教育制度Q&A 15問

スペインの学年は1〜12月の生まれ年で区切られ、9月に始まります。日本の学年との対応表、早生まれのずれ、年齢より下の学年に入る条件、サッカーカテゴリーとの関係、生まれ年別の早見表(2026/27年度)、1年の休みの区切り、日本に戻るときの学年まで、編入で迷いやすい点を整理しました。

制度の全体像

スペインの学校制度はどうなっていますか?

Infantil(幼児教育、0〜6歳)のあと、Primaria(初等教育、6〜12歳の6年間)、ESO(前期中等教育、12〜16歳の4年間)と進みます。その後はBachillerato(大学準備課程2年)かFP(職業訓練)に分かれます。義務教育はPrimariaとESOの10年間(6〜16歳)です。

スペインの学年と年齢・日本の学年の対応
スペインの学年年齢(その年に達する満年齢)日本の学年(4〜12月生まれ)日本の学年(早生まれ)
1º〜3º Infantil3〜5歳未就園(2歳児)〜年中年少〜年長
1º Primaria6歳年長小1
2º Primaria7歳小1小2
3º Primaria8歳小2小3
4º Primaria9歳小3小4
5º Primaria10歳小4小5
6º Primaria11歳小5小6
1º ESO12歳小6中1
2º ESO13歳中1中2
3º ESO14歳中2中3
4º ESO15歳中3高1
1º Bachillerato16歳高1高2
2º Bachillerato17歳高2高3

早生まれ=1月1日〜4月1日生まれ。スペインでは留年(repetición)が珍しくないため、実年齢と学年が1〜2年ずれる生徒も一定数います。

日本と対応させると、Primariaは小学校、ESOは中1〜高1、Bachilleratoは高2〜高3に当たります。ただし後述のとおり、生まれ月の関係で「日本の学年より1つ上」に入る子が多数派です。

スペインの学年は何月区切りですか? 日本と学年がずれますか?

スペインの学年は、1月1日〜12月31日の「生まれ年(暦年)」で区切られます。法令(Real Decreto 157/2022)にも「6歳になる暦年に1º Primariaに入る」と明記されており、1月生まれも12月生まれも同じ学年です。新学期は9月に始まります。

日本では、4月2日〜翌4月1日生まれが同じ学年です(学校教育法施行規則)。この2つの区切りがずれているため、日本で同じクラスの子どもたちが、スペインでは2つの学年に分かれます。

生まれ月によるずれ方
生まれた月1年のうちスペインでの学年
4月2日〜12月31日生まれ9ヶ月ぶん日本の学年より1つ上に入る
1月1日〜4月1日生まれ(早生まれ)3ヶ月ぶん日本の学年と同じ番号に入る

「早生まれの子だけがずれる」と説明されることが多いのですが、実際にずれるのは4〜12月生まれの多数派のほうです。

例えば日本の小6のクラス(2013年4月2日〜2014年4月1日生まれ)は、スペインでは2013年生まれが1º ESO、2014年1〜3月生まれが6º Primariaと、2つの学年に分かれます。

早生まれの子はスペインでは何年生になりますか?

1月1日〜4月1日生まれ(いわゆる早生まれ)の子は、スペインでは日本と同じ学年番号に入ります。日本の小4なら4º Primaria、中2なら2º ESOです。学年が下がるわけではありません。

ただし、日本のクラスメイト(4〜12月生まれ)は1つ上の学年です。そのため、日本で一緒だった友達より1学年下という関係にはなります。日本で早生まれのハンデを感じていた子は、スペインでは月齢が上のグループに入るので、体格差の面ではかえって有利になることがあります。

日本から編入する場合、原則として年齢に応じた学年に入ります。語学力を考慮した調整が認められるかどうかは、州や学校の判断による部分があります。個別のケースは学校に確認してください。

日本から編入すると、年齢より下の学年に入ることはありますか?

原則は年齢に応じた学年ですが、条件によっては1つ下の学年に入ることがあります。スペインの教育基本法(LOE第78条)は、外国から来た子を年度の途中でも受け入れることを行政に求めています。学年の判断材料は、年齢のほか、それまでの知識や学習歴です。

年齢より下の学年に入る条件(国の最低基準)
段階下の学年に入る条件根拠
Primaria(小学校)学習の遅れが1サイクル(2学年分)以上Real Decreto 157/2022 第19条
ESO(中学校)学習の遅れが2学年分以上Real Decreto 217/2022 第22条

どちらも「入れることができる」という規定で、必ず下がるわけではありません。遅れが解消すれば、年齢に応じた学年に移ります。

スペイン語が話せないことは、それだけで学年を下げる理由にはなりません。言葉に大きな不足がある子は、通常のクラスに在籍したまま、並行して言葉の支援を受けます。アンダルシア州の公立校の支援は公立校への編入のページで説明しています。支援の形は州ごとに違うため、編入先の学校か州の教育庁に確認してください。

スペインで1学年上に入った子は、日本に戻ると何年生になりますか?

日本に戻るときの学年は、スペインでの学年ではなく、日本の区切り(4月2日〜翌4月1日生まれ)での年齢で決まります。文部科学省の方針は、外国から帰国した学齢児童生徒を原則として年齢に応じた相当学年に編入する、というものです。

そのため、スペインで日本より1つ上の学年に入っていた4〜12月生まれの子も、帰国すれば日本で同じ学年だった子たちと同じ学年に戻ります。スペインで2つの学年に分かれた日本の同級生は、帰国すると再び同じ学年になります。

2026/27年度をスペインで過ごし、2027年夏に帰国する例
生まれスペインで修了する学年(2026/27)帰国後の日本の学年(2027年度)
2014年6月生まれ1º ESO(中等教育1年目)中1
2015年2月生まれ(早生まれ)6º Primaria(初等教育の最終学年)中1

学年は、上の早見表と日本の学年区切り(4月2日〜翌4月1日生まれ)をもとに計算した例です。スペインの授業は6月下旬に終わるため、日本では年度の途中から学校に加わります。

文部科学省は、日本語力などの事情ですぐに相当学年で学ぶのが適切でない場合、学校生活に慣れるまで一時的に下の学年に入る措置も可能としています。実際の扱いは住む市区町村の教育委員会が決めるため、帰国前に相談してください。

帰国に備えて渡航前に揃えておく書類や日本の学籍の扱いは「日本の学籍・受験との両立」、スペインの学校への入り方は「現地公立校・編入手続き」のページで詳しく説明しています。

サッカーのカテゴリーと学年はどう対応しますか?

スペインサッカー連盟(RFEF)の規定でも、育成年代のカテゴリーは暦年で区切られます。学校の学年とまったく同じ区切りなので、スペインの学年が決まればカテゴリーも決まります。この点が日本との大きな違いです。

サッカーカテゴリーとスペインの学年の対応
カテゴリー年齢スペインの学年日本の学年の目安(4〜12月生まれ)
Prebenjamín(プレベンハミン)7〜8歳1º〜2º Primaria年長〜小1
Benjamín(ベンハミン)9〜10歳3º〜4º Primaria小2〜小3
Alevín(アレビン)11〜12歳5º〜6º Primaria小4〜小5
Infantil(インファンティル)13〜14歳1º〜2º ESO小6〜中1
Cadete(カデーテ)15〜16歳3º〜4º ESO中2〜中3
Juvenil(フベニル)17〜19歳1º〜2º Bachillerato高1〜高3

Juvenilのみ3学年分あります。最年少層の呼称(Debutante / Querubín / Bebé)は連盟によって異なります。

実務上いちばん影響が大きいのは小6前後です。日本の小6クラスでも、4〜12月生まれはInfantil、早生まれはAlevínに分かれます。一般にAlevín以下は少人数制(7人制・8人制)、Infantil以上は11人制です。そのため、日本の8人制から来た子がいきなり11人制に入るかどうかは、生まれ月によって変わります。

サッカーのシーズンは7月1日〜翌6月30日(RFEF規定)、学校は9月〜6月です。8月のプレシーズンから参加する場合は、学校より先に新しいカテゴリーが始まっている点に注意してください。

新学期はいつ始まり、1年はどこで区切られますか?

セビージャ県の2026/27年度を例にします。年度は2026年9月1日〜2027年6月30日です。授業は、Infantil・Primariaが9月10日、ESO・Bachilleratoが9月15日に始まります。どちらも2027年6月23日に終わり、2º Bachilleratoだけは大学入試のため5月24日に終わります。

セビージャ県の2026/27年度の区切り
区切り日付内容
授業開始2026年9月10日(Infantil・Primaria)、9月15日(ESO・Bachillerato)新しい学年が始まる
冬休み2026年12月24日〜2027年1月7日クリスマスの休み。翌日の1月8日も県の休校日
休校日2027年2月26日教育コミュニティの日(Día de la Comunidad Educativa)
春休み2027年3月22日〜28日セマナサンタ(復活祭前の1週間)の休み
授業終了2027年6月23日2º Bachilleratoのみ5月24日
夏休み2027年6月下旬〜9月上旬次の年度の授業開始まで

セビージャ県教育局の2026/27年度学事暦決議をもとにしています。市町村の祝日も休校になり、市町村の学校評議会が決める休校日が最大2日加わります。

冬休みと春休みが、1年を3つの期間に分ける区切りです。春休みは復活祭に合わせて置かれるため、毎年日付が変わります。同じ県でも、2025/26年度の春休みは3月30日〜4月5日、2026/27年度は3月22日〜28日です。

夏休みは6月下旬から9月上旬までの約2ヶ月半です。夏休みがこれだけ長いので、日本から「夏の2〜3週間だけ現地を体験する」プログラムも成り立ちます。

学事暦は州の権限です。アンダルシア州内でも県(セビージャ、マラガ、カディス等)ごとに決議が出るため、日付が数日ずれます。渡航計画を立てる際は、住む予定の県の暦をご確認ください。

学校の種類(公立・コンセルタダ・私立)の違いは?

公立(público)は無償で学区制です。コンセルタダ(concertado)は公費補助を受けた私立で、学費は低額です。私立(privado)は全額自己負担で、インター校もここに含まれます。生徒数の比率はおおむね公立7:コンセルタダ2:私立1です。

「私立ほど教育の質が高い」とは限らず、公立にも評価の高い学校が多くあります。学校ごとの評判は、地域の口コミが最も確かです。

何年生まれの子は、2026/27年度にスペインで何年生・どのサッカーカテゴリーですか?

スペインの学年もサッカーのカテゴリーも「生まれ年」だけで決まるので、誕生日を気にせず下の表で確認できます。2026/27年度(学校は2026年9月〜2027年6月、サッカーは2026年7月1日〜2027年6月30日)の対応です。

生まれ年別の早見表(2026/27年度)
生まれ年スペインの学年サッカーカテゴリー日本の学年(4〜12月生まれ)日本の学年(1月1日〜4月1日生まれ)
2020年1º PrimariaPrebenjamín年長小1
2019年2º PrimariaPrebenjamín小1小2
2018年3º PrimariaBenjamín小2小3
2017年4º PrimariaBenjamín小3小4
2016年5º PrimariaAlevín小4小5
2015年6º PrimariaAlevín小5小6
2014年1º ESOInfantil小6中1
2013年2º ESOInfantil中1中2
2012年3º ESOCadete中2中3
2011年4º ESOCadete中3高1
2010年1º BachilleratoJuvenil高1高2
2009年2º BachilleratoJuvenil高2高3

日本の学年は2026年度(2026年4月〜2027年3月)です。学年は「6歳になる暦年に1º Primaria」(Real Decreto 157/2022)をもとに、カテゴリーは2026/27シーズンに連盟が公表した生まれ年区分をもとに作成しました。留年や編入時の学年調整がある場合は、表とずれます。

翌年度(2027/28)には、同じ生まれ年の子がそれぞれ1つ上の行の学年・カテゴリーに進みます。例えば2015年生まれは、2026/27年度が6º Primaria・Alevín、2027/28年度が1º ESO・Infantilです。

学校生活・評価

成績や進級の仕組みは日本と違いますか?

大きく違うのは、留年(repetir)が制度として普通にあることです。学力が基準に達しなければ小中学生でも学年をやり直すことがあり、周囲から否定的に見られることも日本ほどありません。評価は学期ごとの継続評価(提出物・テスト・授業参加)が基本です。

外国人の子どもが編入した直後は、言語のハンデが考慮されるのが一般的です。ただし、進級は自動ではないと考えておきましょう。

1日のスケジュールはどうなっていますか?

多くの公立校は9時頃に始まり14時頃に終わる連続授業(jornada continua)で、下校後に昼食をとります。学校によっては、午後の課外活動(extraescolares)や給食(comedor)もあります。

午後がまるごと空くので、地域クラブでのサッカー(夕方〜夜の練習)と両立しやすい生活リズムです。日本の「学校+部活で18時まで」とは、時間の使い方の考え方が根本から違います。

保護者の関わり方はどの程度求められますか?

主な関わりは、送迎(低学年は親が送迎するのが当たり前)、学期ごとの保護者面談、クラスのWhatsAppグループへの参加です。PTAに当たるAMPAという保護者会がありますが、加入は任意です。

学校からの連絡は、スペイン語のアプリやメッセージで届きます。移住初期は、翻訳ツールとサポートを使って確実に情報を受け取れる体制が必要です。遠足の同意書など学校からの重要書類を見落とすと、子どもが困ります。

16歳以降の進路

ESO修了後の進路にはどんな選択肢がありますか?

大きく分けて3つあります。(1)Bachillerato(大学進学準備の2年課程)、(2)FP(職業訓練課程、中級から上級へ積み上げ可能)、(3)就労です。スペインでは近年FPの社会的評価が上がっており、スポーツ関連のFP課程(トレーナー等)もあります。

サッカーを続ける子にとっては、「Bachilleratoで大学進学の道を残す」か「FPで実務資格を取りながら競技を続ける」かが典型的な分かれ道です。

スペインの大学に進学することもできますか?

できます。Bachillerato修了後に大学入学統一試験(EBAU/PAU)を受けて出願するのが標準的なルートです。学費は公立大学で年1,000〜2,500ユーロ程度で、日本の国立大学より安い水準です。

外国人の生徒も同じ制度で受験できます。スペイン語力さえあれば、欧州の大学教育を日本より低いコストで受けられる点は、あまり知られていない教育移住のメリットです。

サッカー選手を目指しながらの進路設計はどう考えればいいですか?

スペインの育成環境の良いところは、フベニル年代(16〜18歳)でも学業と両立している選手が多数派なことです。プロになれるのはごく一部だという認識が社会で共有されており、クラブも学業を尊重します。

プロを目指すことは、学業を捨てることを意味しません。Bachillerato、FP、日本の通信制のいずれかで18歳時点の選択肢を確保しながら競技を続けるのが、スペイン式のキャリアの考え方です。

参考にした一次情報

ご注意

就学手続き・学費は自治体・学校・年度により異なります。最新情報は各教育委員会・学校の公式情報をご確認ください。

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