FIFA規定・選手登録
例外規定(19条2項)の適用条件Q&A 9問
18歳未満でも登録が認められる例外には、何があるのでしょうか。日本人家族が現実的に使える「親の移住」例外について、要件と審査のポイントを解説します。
例外の全体像
18歳未満でも登録できる例外にはどんなものがありますか?
現行規定の主な例外は、(a)親がサッカーと無関係な理由でその国に移住した場合、(b)16〜18歳のEU/EEA域内の移動、(c)自宅とクラブが国境から50km圏内の場合、(d)人道的理由、(e)学業プログラムによる交換留学(1学年限り・純アマチュアクラブ限定)です。
日本人家族に現実的に関係するのは、(a)の「親の移住」例外と(e)の交換留学例外です。もう一つ、例外とは別枠で「申請前5年以上の継続居住」による初回登録ルートがあります。
「親がサッカー以外の理由で移住」とは具体的にどういう条件ですか?
選手の親が、子どものサッカーとは無関係の理由(仕事、事業など)でその国に生活の本拠を移した場合に、子どもの登録が認められ得るという例外です(第19条2項(a))。
ポイントは3つあります。(1)移住の理由にサッカーが含まれないこと(複数の理由の一つにサッカーが入っているだけでも不適用とした判例があります)、(2)親の就労・居住に実態があること、(3)時系列として親の移住が子どものクラブ接触より先であること、です。親が形式的に引っ越せば認められる規定ではありません。
「5年居住ルール」とは何ですか?
登録を希望する国に申請前5年以上継続して居住している外国籍未成年は、国際移籍とは扱われず、初回登録が認められ得るというルールです(第19条3項・4項関連)。
幼少期からスペインで暮らしている家庭の子どもに適用されるルールです。これから渡航する家族にとって当面の選択肢にはなりませんが、早期に移住した場合には長期的な安定要素になります。
審査のポイント
「親の移住」例外の審査では何が見られますか?
審査の中心は「移住の真の理由」です。具体的には、(1)親の雇用契約・収入・就労許可の実態、(2)住民登録・住居・子どもの就学など生活の実態、(3)時系列(親の仕事が決まったのが先か、子どもとクラブの接触が先か)が精査されます。
スペイン側の必要書類には「クラブが選手と接触した経緯と日付を記した署名文書」も含まれるため、接触の時期は直接の確認対象です。立証責任はクラブ側にあり、CASの判例には極めて高い立証基準が課された例もあります。
審査で不利になる「赤旗」にはどんなものがありますか?
典型的な赤旗は、(1)子どもがクラブと先に合意し、後から親の仕事を用意した時系列、(2)親の雇用契約や収入証明が不十分、または実態が疑わしいこと、(3)就労が認められないビザ(非営利ビザなど)での滞在、(4)移住理由の説明とSNSや広告などの外形的事実の矛盾です。
実際に、親が就労許可を持っていなかったことを決定的な理由として、著名クラブの登録申請が却下された事例があります。
審査にはどれくらいの期間がかかりますか?
期間はケースによってさまざまです。書類が揃っていれば数週間で進むこともあれば、追加書類の要求や照会で数ヶ月かかることもあります。一般には2〜4ヶ月程度を見込んでください。シーズン登録(例年9月開幕基準)から逆算して、春〜初夏には現地の生活基盤を固めておくのが合理的です。
なお、審査には常に却下の可能性があります。却下された場合は、理由書の請求(10日以内)とCAS(スポーツ仲裁裁判所)への上訴(21日以内)という手続きが用意されています。
交換留学例外・その他
交換留学の例外(19条2項e)とはどんな制度ですか?
学業プログラムに参加する交換留学生に認められる例外です。ただし条件は厳しく、(1)受け入れは純アマチュアクラブに限る、(2)期間は1学年限り、(3)学年終了後に帰国することの確認書が必要、などの要件があります。
「1年だけ現地校に通いながらアマチュアクラブで公式戦を経験する」という計画には、使える可能性があります。ただし継続的な挑戦には向きません。適用できるかどうかは個別に確認する必要があります。
16歳になればEU圏内例外で登録できると聞きましたが?
それはEU/EEA加盟国の国籍を持つ(またはEU圏内から移動する)16〜18歳の選手に適用される例外(19条2項b)です。日本国籍の選手が日本から渡航するケースには適用されません。
日本人選手に関係する例外は、実質的に「親の移住」(2項a)と「交換留学」(2項e)、および5年居住ルールに限られると考えてください。
二重国籍やスペイン国籍の親族がいる場合はどうなりますか?
選手本人がEU加盟国の国籍を持つ場合は、適用される枠組みが変わる可能性があります(16〜18歳のEU圏内移動例外など)。親や祖父母の国籍から選手が国籍を取得できるケースもあります。該当しそうな家族は、移民法・国籍法の専門家に確認する価値があります。
ただし国籍があっても「国際移籍・初回登録」の枠組み自体は残るため、無条件に自由になるわけではありません。
ご注意
本カテゴリの内容は、公開されている規定・判例・手続マニュアルを整理したもので、法的助言ではありません。個別の判断は必ずスポーツ法・移民法の専門家にご確認ください。選手登録の承認はFIFAとスペインサッカー連盟の審査で決まるため、当方が登録・入団・公式戦出場を保証することはできません。